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全米ベストセラー!『燃えるスカートの少女』のエイミー・ベンダー最新傑作
「種明かしをするわけにはいかないので、ここではただ、この本を書いているあいだ、感じやすい(sensitiveである)とはどういうことかについてたくさん考えていた、とだけいっておきましょう」――エイミー・ベンダー9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキを一切れ食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。
以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまち分かる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなく――中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて――ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。
やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結び付ける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。
生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。
著訳者プロフィール
●管 啓次郎:1958年生まれ。比較文学者、詩人。明治大学理工学部教授。エイミー・ベンダー作品の翻訳の他、『星の王子さま』(角川文庫、角川つばさ文庫)、アジェンデ『パウラ、水泡なすもろき命』、コンデ『生命の樹』、ル・クレジオ『ラガ――見えない大陸への接近』など訳書多数。著書『斜線の旅』で読売文学賞を受賞。他に『本は読めないものだから心配するな』、『ハワイ、蘭嶼』、詩集『時制論』などがある。