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行くのは地獄か極楽か!? 武将たちが奪い合い生命を託した“仏”の謎
例えば真田幸村。大坂夏の陣で、天下人・徳川家康に2度も自害を覚悟させるほどの勇猛果敢な突撃を繰り返し、そしてその見事な散りざまは徳川側の薩摩軍をして
「日本一の兵(つわもの)なり」と評されるほどの武将でした。
が、幸村は決して豪快な人物でも勇猛な人物でもありませんでした。
幸村の兄・信之いわく
「柔和で辛抱強く、物静かで怒って腹を立てることはない」人物でした。
ではなぜ、少ない兵で真一文字に徳川軍本陣に突撃するような行動をとる事ができたのか。
そこには幸村が崇拝した「地蔵菩薩」の存在があります。
幸村の念持仏・地蔵菩薩(神明地蔵尊)は、「地獄からの救済」を功徳に持ちます。
生と死が背中合わせの時代を生きた幸村は、それが宿命であろうと多くの人間を殺めた自分が
極楽往生するとは考えていませんでした。むしろ地獄に行くのは必定と考えていました。
しかし、一心不乱に地蔵菩薩に祈りをささげ救済を求めた幸村は、
「地蔵菩薩に地獄から救済される」と信じていました。言い換えると
「すでに自分は死んでいる、しかし信仰によって地獄からは救われている。
死んでいる者がいまさらなぜ死を恐れようか」と考えていたのでしょう。
本陣突入の際、幸村は
「今は戦いは終わり也。あとは快く戦うべし。狙うは家康の首ただ一つのみ」
とつぶやいたといいます。
著訳者プロフィール
「ザ・ベストスペシャル」「ストリートジャック」「男子食堂」「歴史人」創刊編集長を歴任。また曽野綾子氏「老いの才覚」担当編集者として130万部のセールスを記録する。退社後、歴史ジャーナリストとして第二の人生を歩むべく株式会社「知楽」を立ち上げる。
目次
序章 念持仏の謎
第1章 真田幸村×神明地蔵尊
第2章 石田三成×石田地蔵尊/千体仏
第3章 徳川家康×白本尊/黒本尊
第4章 豊臣秀吉×三面大黒天
第5章 上杉謙信×泥足毘沙門天/飯綱明神
第6章 武田信玄×武田不動尊/諏訪明神
第7章 伊達政宗×聖観世音菩薩
第8章 山本勘助×摩利支天
第9章 前田利家×摩利支天/姥尊像
終章 善光寺如来の謎