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源氏物語から漱石まで──物語と仏教の緊張関係から文学に新たな光をあてる
出家に憧れながらも愛欲の世界にとどまり、歯がゆい生を送ったように見える源氏物語の登場人物たち。
しかしその曖昧さの中にこそ、日本の思想と文学を貫く、
王権と仏法の緊張関係が示されているのではないか──。
源氏・平家物語から徒然草、能、平塚らいてう、夏目漱石まで。
仏教という補助線によって、顕/冥、男性/女性、夢/現などの
物語構造を浮かび上がらせ、日本文学の新たな魅力を引き出す全6章。
著訳者プロフィール
目次
1 源氏物語と仏教
2 平家物語と仏教
3 能と仏教
修羅の救い
大和をめぐる能と宗教
中世思想の転回と能
4 仏典とその受容
仏教経典概論
経典に見る女性
仏教と夢
西欧における日本仏教の紹介
5 思想と文学の間
真福寺写本から見た中世禅
思想家としての無住道暁
『徒然草』の酒談義
良寛と仏教――『法華讃』をどう読むか
禅と女性
6 愛と修道――漱石のジェンダー戦略