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実像 広島の「ばっちゃん」中本忠子の真実

1,870円(税込)
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発売日2019年10月25日
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  • ISBN コード : 9784041086155
  • サイズ :四六判    総ページ数: 256
  • 商品寸法(横/縦/束幅): 128 × 188 × 22.7 mm
  • ※総ページ数、商品寸法は実際と異なる場合があります

聖人(マザーテレサ)にされた母は、ひとりの「人間」でいたかった――。

 聖人(マザーテレサ)にされた母は、「人間」でいたかった。
 圧倒的な善行を施す一人の女性。だが、その原点は一切謎に包まれていた。
 秘してきた情と業に迫り、偶像を求め、作り、弄ぶ時代を撃つ。

●「ただいま」「おかえり」を知らずに育った子。
●小学生で覚せい剤を親からうたれた子
●モヤシを盗んで飢えをしのいだ子 etc.

 彼らを救ったマザーテレサと呼ばれる人がいる。
 本名よりも「ばっちゃん」の通称で知られる女性、中本忠子。
 彼女は広島市にあるアパートを拠点に約四〇年にわたり、非行少年をはじめ、
生きづらさを抱える人たちに無償で手料理を提供し、生活の立て直しを支援し続けてきた。
 その圧倒的な善行はメディアに取り上げられ、意に反して急速に聖人化される。
ところが、肝心の活動の動機は一切謎のままだった。
本人、親族、そして「家」に集う人々へ取材を重ね、秘してきた情と業に初めて迫る。
 それは、偶像を求め、作り、持ち上げては貶める時代の闇を払うことでもあった! 
 
 称賛か嘲笑か。二極化する時代、偶像化された者は、その虚像に囚われ続けなければならないのか!?
 渾身のルポルタージュ!

【目次】
序 章 「ばっちゃん」と「中本忠子」――二十五秒のスピーチを聞いて
第一章 基町の家――卵焼きを囲んで
第二章 孤独と空腹――立ち直りのために「立て直す」
第三章 「木に登ったが下りられず」――ドーナツの穴を埋め続けて
第四章 平和都市ヒロシマの足下――人々は見捨てられてきた
第五章 母の背中――息子も里親になった
第六章 ルーツ――お嬢様から母に
第七章 遠いところで――祈りは皿に込められた
終 章 家族――よその子であれ、わが子であれ
 あとがき
 主要参考文献

著訳者プロフィール

●秋山 千佳:1980年生まれ。東京都出身。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。記者として大津、広島の両総局を経て、大阪社会部、東京社会部で事件や教育などを担当 。2013年に退社し、フリージャーナリストに。九州女子短期大学特別客員教授。著書に『ルポ保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル』(朝日新書)、『戸籍のない日本人』(双葉新書)。

目次

序 章 「ばっちゃん」と「中本忠子」――二十五秒のスピーチを聞いて

第一章 基町の家――卵焼きを囲んで
 卵焼きは子も親も受け止める/基町の家は子ども食堂にあらず/そのままかじったインスタントラーメン/検察庁で鉢合わせ/もう一つの卵焼きが定着するまで/少年院でつくった親子丼/台所に変化が起きた

第二章 孤独と空腹――立ち直りのために「立て直す」
 広島・基町という場所/お腹が減るとシンナーを吸う子/愛称「ばっちゃん」をつけた張本人/「ただいま」と「おかえり」を知らなかった/温かい味噌汁がうれしかった/「お兄ちゃんだけどお父さんみたい」/「ばっちゃん」が有名人になって/深まる謎

第三章 「木に登ったが下りられず」――ドーナツの穴を埋め続けて
 弱者の受け皿がない社会/「大人でも行ってええですか」/小学生で打たれた覚せい剤/更生保護施設に「帰る」/ふさがらないドーナツの穴/出奔/「本当の生き様」というヒント

第四章 平和都市ヒロシマの足下――人々は見捨てられてきた
 差別/モヤシを盗んで生で食べた/「ばっちゃん、親分から」/招かれなかった結婚式/全身の入れ墨が隠したかったもの/軍都から平和都市への「復興」の陰で/嵐の中でも

第五章 母の背中――息子も里親になった
 死別と生別/母は叱らなかった/寂しかった息子/里子とともに成長する/「おふくろに育てられた記憶がない」

第六章 ルーツ――お嬢様から母に
 疑問/血の繋がらない祖母/弟との金策/共鳴の理由/父の料亭は東洋一の軍港にあった/写真の姉は「おしゃれ」だった/被爆者手帳と父/空白の背後にあった事情

第七章 遠いところで――祈りは皿に込められた
 息子たちとの邂逅/父や母がおらずとも/親子を「美談にするのは無理」/母の軌跡と広島名物/店には警察官も暴力団員もやってきた/息子への祈り

終 章 家族――よその子であれ、わが子であれ
 天命/「私、そこまで立派じゃないもん」/母を誇りに思えばこそ/赤心/カミングアウト/一人の母親としての荷を下ろす/みんな「うちの子」
 
 あとがき
 主要参考文献