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共に生きるのに、愛とか熱情だけじゃない、キムチの味も大切なのだ。
偏食だった舌を変えた腸詰、酒と最高にぴったりなギョウザ、美しい女たちがまるごとかぶりつくノリ巻き、断食明けの食欲をよみがえらせるお粥と塩辛、酔い覚ましに完璧な水冷麺、狂おしいほどに愛おしい激辛青唐辛子、自分だけの流儀で食べたい鍋焼きうどん、新米と秋大根とタチウオが織りなす虹のハーモニー、恋人と食べた幻のカムジャタン、ソウルフード的ハイガイの煮付け、無性に食べたくなるスルメの天ぷら、ぷりぷりのサバの一夜干し……。どんな食べ物でも、味の中には人と記憶が潜んでいる。【目次】
はじめに 酒飲みたちの母国語
第一部 春・青春の味
ライラックと腸詰め/ギョウザらしいギョウザ/ノリ巻きは健気だ/プッチムゲの花をご存じですか?/塩辛とお粥のマリアージュ
第二部 夏・以熱治熱の味
夏の麺/冷汁刺身、トクベツの!/激辛青唐辛子の季節/夏場のつくりおきそうざい列伝
第三部 秋・甘くて甘い味
木枯らし吹いたら鍋焼きうどん/給食の温度/秋大根の三段ケーキ
第四部 冬・はじめての味
あのスープ、あのカムジャタン/私のソウルフードはハイガイの煮つけ/オムクひと串の思い出/家ごはんの時代
第五部 季節の変わり目
スルメの天ぷら/ぷりぷりのサバ/豆の粉の盆正月膳/負けた、ジャージャー麺に
隣の国の酒の友 訳者あとがきにかえて
著訳者プロフィール
●丁 海玉:1960年神奈川県川崎市生まれ。在日韓国人二世。幼少期を北海道旭川市で過ごす。1984年ソウル学校人文大学国史学科卒業。1992年大阪高等裁判所通訳人候補者名簿登録。大阪、広島、名古屋。高松各高等裁判所管内にて法廷通訳研修講師(韓国語)を務める。2002年に発表した「違和感への誘い‐‐法廷通訳の現場から」(『樹林』448号)が第22回大阪文学学校賞(エッセイ・評論・ノンフィクション部門)を受賞。著書に、詩集』こくごのきまり』(土曜美術社)がある。詩誌『space』同人。