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火守

著者: 劉 慈欣
訳者: 池澤 春菜
絵: 西村 ツチカ
1,650円(税込)
発売日2021年12月20日

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  • ISBN コード : 9784041114889
  • サイズ :新書判 変形   総ページ数: 80
  • 商品寸法(横/縦/束幅): 105 × 173 × 13.0 mm
  • ※総ページ数、商品寸法は実際と異なる場合があります

中国SF『三体』の劉慈欣、唯一の物語絵本。星を旅する物語。

人はそれぞれの星を持っている。病気の少女のため、地の果てに棲む火守の許を訪れたサシャは、火守の老人と共に少女の星を探す過酷な旅に出る−−。世界的SF作家が放つ、心に沁みるハートウォーミングストーリー。

(本文より)サシャは東の孤島に立っていた。彼をこの世界の果てに放り出した帆船が、海と空の境界線に消えていく。最東端の島は、海に露出した錆さびた鉄片のようだった。周囲には命の気配すらない。
 サシャは島の奥に向かって歩き出した。何日も船酔いに苦しみ、いまだに足下がおぼつかなかったが、小さな島は中心に辿たどり着くのもすぐだった。低い丘に、彼を見つめる怪しい目のような黒い穴が開いている。穴の周りには黒い石炭の層があって、ここが炭坑であることを示していた。坑道の側の開けた場所には石窯がそびえ立ち、見たこともないほど大きな鉄鍋が載せられている。ひっくり返せば、サシャが今まで見た中で一番大きな屋根にもなりそうだ。
 といっても、サシャはこれまで遠出をしたことがなかった。大きな家を目したことだってない。ヒオリと恋に落ちたサシャにとって、大事なのは世界を見ることではなかった。だけど、彼は意を決し、彼女のために世界の最果てまで旅をしてきた。
 石窯の火は消え、巨大な鉄鍋から独特の油臭いにおいが立ち上り、辺りに漂っている。

著訳者プロフィール

●劉 慈欣:1963年生まれの中国作家。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を書き始め、99年、中国のSF雑誌「科幻世界」でデビュー。銀河賞を連続して受賞し、『三体』が2008年に炭鉱bとして刊行後に大ブレイク。15年、ケン・リュウ訳『三体』(第一部)によって、ヒューゴー賞を受賞。
●池澤 春菜:声優、エッセイスト。父に作家の池澤夏樹、祖父に作家の福永武彦を持ち、自身も「ダ・ヴィンチ」や新聞各紙で連載を持つなど文筆家としても活躍。台湾渡航歴は50回に迫り、台湾への愛を詰め込んだ自身初の旅グルメガイドブック『最愛台湾ごはん 春菜的台湾好吃案内』は、各方面から絶賛され、話題を呼んだ。台湾好きは食にとどまらず、東京・小石川で変身写真館「ミニーナ」を主宰。高級評茶員、中級茶藝師、紅茶アドバイザーの資格を持つお茶マニアでもある。
●西村 ツチカ:漫画家、イラストレーター。2010年、短篇集『なかよし団の冒険』でデビュー。同作で第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞受賞。著作に『かわいそうな真弓さん』『さよーならみなさん』『北極百貨店のコンシェルジュさん』、短篇集『アイスバーン』、画集『西村ツチカ画集』など。

目次

火守
訳者あとがき
プロフィール