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理想主義か、現実路線か? 国家を憂う酒飲み3人、不朽の政治談議!
ブランデーを酌み交わす3人の論客が政治談議にふけっている。弱小国こそあえて民主制の理想を追うべきと説く洋学紳士。列強に伍して大国化を目指し、戦争も厭わないと述べる豪傑の客。やがて、黙して耳を傾けていた南海先生が口をひらく――。東洋のルソー・中江兆民が自身の学問のすべてを注ぎ込んだ理論書。政治とは何か。理念か、現実か。国家、外交、平和をめぐる日本政治思想の重要古典にして最良の政治学入門がよみがえる。「南海先生は生まれつき非常に酒好きで、また政治を論じることが大好きである。そして酒を飲むと、一、二本ばかり飲み干す場合、ほろ酔い加減で、気分がふらつき虚空を飛んでいるようだ。耳目は楽しんでこの世に辛いことがあるなど、まったく思いもよらない。」 ──「現代語訳」より
著訳者プロフィール
●先崎 彰容:1975年東京都生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。東北大学大学院文学研究科日本思想史専攻博士課程単位取得修了。フランス社会科学高等研究院に留学。文学博士。現在、日本大学危機管理学部教授。専攻は近代日本思想史・日本倫理思想史
目次
○南海先生はこの現実社会の地理を知らない
○民主主義者と侵略主義者が南海先生を訪問する
○海防は野暮の最たるもの
○アジアの小国から理想の大国現る
○フランス王ルイ一六世は幸福になった
○八公、熊公のために大気炎を吐く
○漢学先生、心機一転の一言を
○ああ羨ましいことよ、ああ気の毒なことよ
○自答して笑いながら、漢文のカスだと言う
○法律の大議論
○豪傑君は少し時代に遅れた
○何らかの現実的経済政策が、後に必ずここから生まれるはず
○優れた才能をもち、ずば抜けた見識を備えた者が、はたして世間にいるだろうか いるとも、いるとも
○旧自由党と改進党の顔ぶれ
○旧自由党は必ず怒り、必ず笑うだろう
○政治の相撲取りたち
○世界の書記官はみんなこんなものだ
○政治の外科医の出現
○この一節の文章には多少の自負がある
○ヴィクトル・ユゴーの全集にもバイロン卿の全集にも見当たらない
○南海先生はごまかした
三酔人経綸問答 原文
解説 先崎 彰容