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絵画市場で画家たちが散らす火花が、フェルメールの「静謐」を生み出した。
ライバル画家2000人、流通した絵画500万点。繁栄と恐慌、戦争、感染症──。
不朽の名画を生んだ絵画の黄金時代は、
空前の競争市場〈レッドオーシャン〉だった!
17世紀オランダの絵画市場と
画家の生き残り戦略に迫る、美術史研究の最前線。
山口周氏 推薦 ──冷え込むマーケットと格闘した画家たちの「生き残り戦略」は、知恵と勇気を与えてくれる。
著訳者プロフィール
目次
フェルメールをめぐる二つの問い
社会経済史からみるオランダ絵画
市民社会と絵画市場の誕生──17世紀オランダ小史
第一章 浮かぶか、沈むか──17世紀オランダの絵画市場
絵画市場の黄金時代
アート・マーケットの美術史
一年間に何人の画家が何点を制作していたのか
何が価格を決めるのか
第二章 マーケットと対峙する画家たち
フランドルに学ぶオランダ画家
拠点としての聖ルカ組合
マーケティングの場としてのアトリエ
画商を兼業する画家
パトロンとの人脈
第三章 絵画流通の五つのルート
路上の「担ぎ屋さん」
歳の市と祭り
富くじ商品としての絵画
絵画オークション
専門の画商
第四章 風俗画の成立とアート・マーケット
先導する画家、追随する画家
風俗画の誕生と展開
初期の風俗画──第一次英蘭戦争開戦まで
第五章 最盛期のオランダ風俗画家たち
風俗画最盛期の20年
ヘーラルト・テル・ボルフ──モダンな風俗画の先駆者
ヘーラルト・ダウ──ライデン細密画派の始祖
フランス・ファン・ミーリス──極まる細密画法
ハーブリエル・メッツー──大都市に賭けた移住画家
ピーテル・デ・ホーホ──アムステルダムへ移ったデルフト派
カスパル・ネッチェル──テル・ボルフの弟子
第六章 アート・マーケットの中のフェルメール
更新されるフェルメール研究
画家の生涯
作品と様式
顧客とパトロン
第七章 似ていないが似ている──画家たちの生き残り戦略
戦略としての「類似」│ 《手紙を書く女》
参照関係のダイナミズム
画家から画家へ
オリジナルと贋作
絵画理論のなかの類似と模倣
終章 未完のフェルメール
退潮するマーケットのなかで
ファン・ミーリス│ 翳りの時代のトレンドセッター
黄金期の終わりとフェルメールの晩年
あとがき