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勝負の分かれ目(上)

著者: 下山 進
デザイン: 緒方 修一
発売日
2002年01月25日
在庫なし
1,012
在庫がありません
ISBNコード
9784043628018
レーベル
角川文庫
商品形態
文庫
サイズ
文庫判
商品寸法(横/縦/束幅)
105 × 149 × 17.5 mm
総ページ数
496ページ
若田部真澄が日銀副総裁就任前に再評価、日本の新聞・出版が崩壊の危機に瀕する今、再び注目される技術革新によるメディアと人間の変貌の物語。

「日本人にかくも壮大かつ重厚なノンフィクションが書けるのかと驚嘆した。(中略)。市場経済の変化がメディアとジャーナリズムを否応なく変えていく半世紀余りをトップ経営者から現場記者まで、国際的、複眼的、重層的に描き出す」
(若田部昌澄 早稲田大学政治経済学部教授・当時 週刊ダイヤモンド 2017年9月30日号)


プロローグ
九七年十一月、アジアを襲った通貨危機。その影には、情報と市場をあわせ持つ金融情報産業ロイターの姿があった

第1章  潰れかかった通信社
大英帝国の黄昏とともに、絶滅の危機に瀕する国策通信社。三九歳の若さで社長に選ばれたロングの起死回生策は

第2章  取引所とコンピュータ
六〇年代に始まる取引所のコンピュータ化は資本主義史上画期的な事件だった。その原理に気づいた日本の技術者

第3章  黄金郷へ
欧米に先んじて取引所の完全コンピュータ化を夢見た風雲児、馬場光雄。だが、馬場の夢は証券界によって潰される

第4章  国士
日本で取引所電算化の意義にもっとも早く気がついた時事通信社。が、社長の長谷川才次は変化の波を理解しない

第5章  筆剣一如
長谷川の原点は国策通信社だった「同盟」にあった。「同盟」を作り思想戦を指揮した古野伊之助の影響力

第6章  同盟解体
なぜ、自分が傍流に行かされたのか。古野に対するルサンチマンが長谷川を蝕み、時事通信社を蝕んでいく

第7章  強者連合
経済通信社の原点を忘れた長谷川に代わって、黄金郷への扉を開けようとしたのは日本経済新聞の圓城寺次郎だった

第8章  独裁と密告
密告、スパイ網。独裁者となった長谷川は、危ういところに立つようになった。若手社員は抵抗の地下組織を結成

第9章  退場する将軍
新組合は長谷川体制打倒を決議。株主総会を睨み全面対決の火ぶたが切られる。長谷川は敗北、王は石もて追われる

第10章  漂う通貨
日本がコップの中の争いにあけくれている間に、世界は変わる。通貨が金の軛を外れ、漂いだす。大きな転換点

第11章  ロイター・モニター
通貨は株のように物理的な取引所がない。ロイターは、仮想の電脳空間にコンピュータによる市場を創設する

第12章  裏切られた革命
長谷川を追い出した時事通信は、強者連合によって準備が進むコンピュータ相場報道に単独で殴り込もうとしたが