- ISBNコード
- 9784044094140
- レーベル
- 角川ソフィア文庫
- 商品形態
- 文庫
- サイズ
- 文庫判
- 商品寸法(横/縦/束幅)
- 105 × 150 × 12.5 mm
- 総ページ数
- 320ページ
親子の断絶は八世紀、律令制度の成立から始まった!
『万葉集』と『日本霊異記』では描かれる家族のありようが大きく異なる。8世紀に成立した律令制が「子を育ていつくしむ母」を「子を顧みない母」に変えた。人間を個体として認識するようになると親子関係も夫婦関係も変化してきて、母に高利で貸し付けをする子、与えた乳の代価を要求する母など、前時代には思いもかけなかった家族関係が生じてきた。今から1300年前に生まれた家族関係のゆがみを文学の中に読み解く画期的な試み。
目次
序 章 古日本「家族」誌のために
第一章 母と子
1 神の子と聖母
2 赤い血・白い乳──母と息子
3 監視と自立──母と娘
第二章 父と子
1 「所有」の呪力──父と娘
2 譲るということ──父と息子
3 ヤマトタケルの物語──対立する父と息子
第三章 親和と対立──七世紀の親子関係
1 アマテラスとスサノヲ──交叉親子と平行親子
2 クシナダヒメの家族──父系と母系
3 サホビメの場合──崩壊する母系
第四章 制度の中の家族と親子──八世紀家族の成立
1 律令と八世紀社会
2 戸籍にみる家族
3 理念としての家族
第五章 ゆらぐ家族──『日本霊異記』と八世紀
1 乳の喪失
2 律令官人と家族
3 都市生活と母
4 欲望の果てに
5 癒されない家族
終 章 山上憶良の歌う家族
単行本あとがき
文庫版あとがき
参考文献
引用資料索引