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第21回[春]スニーカー大賞《優秀賞》受賞作。
その空の色を、まだ誰も知らない。酸素と同じように、人々の生命活動に精霊が不可欠な世界。
近代化された都市・アリステルに生きる人々は、常に上空を覆うダスト層雲によって空の青さを知らずにいた。
ダスト層雲を払い、精霊を呼び寄せることが出来るのは、箒に乗って魔法を使う儀式<グラオベーゼン>の担い手である<ヘクセ>と呼ばれる10代の少年少女だけ。
箒さばきと造形魔法が天才的なものの高所恐怖症という三流ヘクセの主人公カリムと、彼の幼馴染みで当代随一のヘクセ揺月は、過去の事故以来お互いのことを気にしながらも疎遠になっていた。
そんな中、アリステルの街を危機に陥れる規模の精霊不足が起こり、カリムと揺月は二人でグラオベーゼンを行うことに。
全く噛み合わない二人は、町の人々を救うため「青空」を招くことが出来るのか――。
稀代の新鋭が描く、空を駆ける青春ファンタジー。