死なないでいる理由

死なないでいる理由

792円(税込)
発売日2008年12月25日

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  • ISBN コード : 9784044075026
  • サイズ : 文庫判 総ページ数: 224ページ
  • 商品寸法(横/縦/束幅): 105 × 149 × 9.0 mm
  • ※総ページ数、商品寸法は実際と異なる場合があります

<わたし>は「他者の他者」としてある。他者の思いの宛先としてここにいる

たとえば、生涯だれにも一度も呼びかけられなかったひとなどはいない。〈わたし〉は「他者の他者」として、他者の思いの宛先としてここにいる。〈わたし〉が他者の意識の宛先でなくなったとき、ひとは〈わたし〉を喪う。存在しなくなる。ひとの生も死も、まぎれもなく他者との関係の社会的な出来事としてある、そんな現代の〈いのち〉のあり方を、家族のかたちや老い、教育など、身近な視角からやさしく解き明かす哲学エッセイ。

著訳者プロフィール

●鷲田 清一:1949年、京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学総長。先行は臨床哲学。著書に『「待つ」ということ』角川選書、『夢のもつれ』角川ソフィア文庫、『思考のエシックス』『「聴く」ことの力』など多数。

目次

 〈プロローグ〉
 生まれること、死なれること
  「生まれる」ということ
  「死なれる」という経験
  死の語らい

1 寂しい時代 

 1‐1 「わたし」という浮草
  底知れぬ「孤立貧」
  わたしにできること、できないこと
  「個性」という幻想
  インターディペンデンス──「自立」の意味
  ワン・オブ・ゼム
 1‐2 私的なもののゆくえ──家族という場所
  〈家族〉という関係
  家族のかたち
  家族以後の家族
  住居と家族
  私的なもののゆくえ
  所有の現在形
  所有のきしみ
 1‐3 うつろいゆく成熟のイメージ──教育という装置
  現代おとな考──もうひとつの大事なものを護るために
  大人のなり方
  成熟のやりなおし
  信じられるひと?
  教育論はだれへの問いか
  教育の臨界点
  教育という感情労働
 1‐4 見えない死──医療という仕組み
  見えない死、隠される生
  〈生〉と〈死〉の変容──時代を映す脳死臓器移植
  「生命倫理」とは?
  「ある」と「いる」
 1‐5 まとまらないこと──介護という関係
  老いゆく時間のはざまで
  「長生きしたくないね」
  〈老い〉はほんとうに「問題」なのか
  癒されたいという患い
  聴く仕事
  ケアという関係
  ざらざらした感覚

2 死なないでいる理由 

 2‐1 〈いのち〉への問い
  いのちを見とどける──「花」をめぐって
  隠されるいのちの姿
  〈わたし〉のいのち
  いのちをつながりのなかで見る
 2‐2 消えた幸福論
  問いの性格──「なぜひとを殺してはいけないんですか」
  死なないでいる理由
  夢見る権利──〈不幸〉の声
  幸福論の不在──思想史の文脈で
  不可能な幸福論──〈人間性〉が受けたダメージ?
  幸福主義の考え方
  反幸福主義の考え方
  幸福論の再浮上
  ハッピーとラッキー
  幸福をめぐる二つの声
 2‐3 ほどける時間──小さな幸福
  時のあわい
  ぶらぶら乗り
  シートに深く身を沈めて
  月はおぼろ
  からだで聴く
  からだに救われる
  いのちを預かる
  人を歓ばせて歓ぶ
  プライドの生まれる条件

 あとがき

〈プロローグ〉 生まれること、死なれること
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