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こだわらない、押しつけない、引きずられない――。革新的人間像に迫る!
讃岐の豪族の家に生まれた天才児真魚(後の空海)は、一族の期待を背負い大学に入学。しかし貴族に交じり富と名声のために学ぶことに疑問を感じ、自由な思索、自由な学問を求め仏道へと帰依、留学僧となって中国に渡る――。思想の出発点となった『三教指帰』、円熟期の集大成『秘蔵宝鑰』をはじめ多くの著作も紹介。日本の思想・宗教界を導き、後に弘法大師と尊称された空海の生涯と、現代に脈々と息づくその教えに迫る!著訳者プロフィール
目次
第一章 空海の生涯
一 青年期と入唐
誕生から大学入学
大学中退と苦悩
空海を取りまく時代の状況
『三教指帰』執筆の動機
『三教指帰』の目的
『三教指帰』の内容
『大日経』に出会う
留学生として入唐、長安滞在そして帰国
二 思想の形成期──四十代──
「中寿感興の詩」に思いをこめる
最澄との交流
空海と最澄、それぞれの道
高野山の開創
三 円熟期における社会活動
讃岐国万濃池の修築
新しい文化の第一人者となる
綜藝種智院の創設
『秘密曼荼羅十住心論』と『秘蔵宝鑰』の制作
隠棲と入定
第二章 著作と思想
一 著作の全容
二 『秘蔵宝鑰』について
はじめに
十住心思想の概要
『秘蔵宝鑰』中巻の十四問答
三 大乗仏教から密教へ
顕教と密教
即身成仏思想
大乗仏教から密教へ
第三章 空海と現代
一 空海の生き方──引きずられない人──
二 空海思想の今日的意義
はじめに
心の自由
共生の理念
仏の探究は人間の探究
『理趣経』の人間観
祖先を敬い神仏を尊ぶ──日本人の美風の維持──
三 空海の宗教観──人生と宗教と──
四 空海と芸術
文章論について
書道について
五 空海の生死観──死をいかに見つめ、どう対処するか──
はじめに
『死を見つめる心』
『三教指帰』の「生死海の賦」
『秘蔵宝鑰』の序文
むすびにかえて
文庫版あとがき
空海略年譜
主要参考文献