増補 『徒然草』の歴史学

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増補 『徒然草』の歴史学

1,012円(税込)
発売日2014年11月22日
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  • ISBN コード : 9784044092160
  • サイズ : 文庫判 総ページ数: 336ページ
  • 商品寸法(横/縦/束幅): 105 × 149 × 13.0 mm
  • ※総ページ数、商品寸法は実際と異なる場合があります

兼好が生きた鎌倉末期の息遣いと記憶。歴史史料として読み解く『徒然草』。

無常観の文学として親しまれてきた『徒然草』。一方でこの書は、鎌倉末期から南北朝時代の宮廷社会や生活空間、和歌や家集のこと、東国・鎌倉の文化など、兼好が見、聞き、感じたことの記録でもある。これらの記述が史実とどう関わり表現されているか、それを叙述の視点や方法・内容、時期などについて歴史学の立場から検証。等身大の兼好の実像に迫り、時代や社会の息遣いを読み解く。最新の研究成果を反映した増補改訂版。

著訳者プロフィール

●五味 文彦:1946年生まれ。放送大学教授・東京大学名誉教授。日本中世史専攻。人物史を中心に、絵画や文学、和歌などから歴史を解明。著書に『殺生と信仰』『後鳥羽上皇』角川選書、『中世の身体』角川叢書など多数。『中世のことばと絵』でサントリー学芸賞、『書物の中世史』で角川源義賞受賞。

目次

はじめに

序章 『徒然草』の記憶
『徒然草』と歴史学
キーワードは記憶
百日の鯉を切る
園別当入道の生き方
『徒然草』の基礎知識

第1部 時代の記憶
1 いにしえの聖の御世
聖の御世の書物
理想としての摂関時代
『源氏物語』と『枕草子』
摂関家の情報
中国の「聖の御世」
書物への態度
2 後鳥羽院の御時
院政時代の評価
君臣が幽玄の道を重んじた時代
『平家物語』誕生の秘話
白拍子舞の起源
『平家物語』と『新古今集』
先達の活躍した時代
3 後嵯峨院の御代
浄土宗の好ましい仏事
後嵯峨院の近臣
高名の御牛飼
乾鮭と土器の話
王権優位の主張
御所亀山殿の記憶
4 兼好の生まれた頃
文永・弘安の頃
話の出所を探る
徳大寺家への関心
五条の内裏の化物
女性への批判
資季と具氏のあらがい

第2部 宮廷社会の記憶
1 内裏の記憶
内裏での体験
心にくき女房の呟き
兼好の冷や汗
大将をめぐる確執
内裏の知識と思い出
2 堀河家の記憶
堀河家に仕えて
堀河家と検非違使
応長の鬼の噂
堀河家と兼好
上流貴族との交わり
3 後宇多上皇の記憶
随身・北面・道々の輩
医師と近臣
院側近の僧
大覚寺殿の繁栄
持明院統から大覚寺統へ
日野資朝の性格
4 ありたき事の記憶
風月の才に富める人
奉行の入道
書の道
有職の人々
和歌・管絃の道
女房の歌人

第3部 異郷と遁世
1 鎌倉と東国の世界
鎌倉に下る兼好
文書から見た兼好
酒と味噌
足利邸での饗応
鎌倉の良き時代
2 土地の記憶
地方の文化と京の文化
西国と六波羅
遠い国の話
宿河原の決闘
京からの土地感覚
京周辺の旅
旅と馬
3 遁世の事情
兼好御房の土地売買
兼好が買った相手
『一言芳談』を指針にして
遁世の心境
籠る場
横川での修行
4 遁世の周辺
山僧との交遊
仁和寺の僧たち
六波羅の関係者
遁世の僧たち

第4部 生活の記憶
1 家の記憶
家と庭木の風情
よい調度
家の造り
養生と食事
家の害
風俗と習俗
2 遊びの空間
碁と双六
遊びの場
酒と早歌
田楽と茶寄合
名利を求めること
才芸の誇り
3 兼好と人生
幼少期から青年期へ
若き兼好
遁世の身
四十歳の転機
死を前にして
4 和歌の道の記憶
月への思い
月・花・雪
家集を探る
邦良親王の歌のサークル
和歌の師匠
多い二条為定関連の歌
兼好と為定の関係

終章 『徒然草』の成立
家集の編集方針
二作品の対照
二条為定に注目
為定と二条家
『徒然草』の成立時期
参考文献

補遺 兼好の実像をめぐって
おわりに

文庫版あとがき
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