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古代の詩歌のひびきを蘇らせた、奇蹟の歌人。全歌集を収める初の文庫版!
折口信夫(釈迢空)は近代日本にまるで奇蹟のように、古代の心、古代の詩歌のひびきを、鮮烈に蘇らせた歌人であった――。短歌滅亡論を唱えるも、その真意は再生への願いであり、日本語の多彩な表記を駆使しながらつねに短歌の未来と格闘し続けた。
折口が残した6冊の歌集に私家版・自筆選集、短歌拾遺、
さらに関東大震災に直面し、短歌形式に収めることのできない苛烈な体験を詠んだ詩作品含めた、初の文庫全歌集。
「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」
生涯「旅びと」であった折口の姿が立ち現れてくる。
著訳者プロフィール
●岡野 弘彦:歌人。1924(大正13)年、三重県生まれ。國學院大學卒業。在学時から折口信夫(釈迢空)に学び、没年まで師事する。 処女歌集「冬の家族」で現代歌人協会賞を受賞。主な歌集に『滄浪歌』(迢空賞受賞)、『海のまほろば』(芸術選奨文部大臣賞)、『天の鶴群』(読売文学賞)、『折口信夫伝』(和辻哲郎賞受賞)など。1995年〜2007年に宮年宮内庁御用掛をつとめる。1988年、紫綬褒章受章。日本芸術院会員、文化功労者、國學院大學名誉教授。
目次
春のことぶれ
水の上
遠やまひこ
天地に宣る
倭をぐな
私家版・自筆選集
短歌拾遺
詩拾遺
解題
解説 岡野弘彦
略年譜
作品初句索引