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『枕草子』には綴られなかった、清少納言(アラサー)の恋と悲劇そして幸せ
美しいあの方のお傍に、恥じることなくいられるだけの強さが、ほしい――平安中期、時の帝の寵愛を受ける中宮(平安時代の皇后)定子に仕えることになったなき子(清少納言)。
当時としては「年増」と呼ばれる年齢になってから才を買われて宮中に入ったなき子だが、定子に瞬く間に魅了される。
華やかな宮廷で卑屈に縮こまっていたなき子の心をほぐしてくれた、眩いほどに美しい年下の主人。
「女が学をつけても良いことは何もない」といわれていた時代、共に息苦しさを感じていた定子と清少納言は強い絆で結ばれていくが、定子の父の死によって栄華を誇った一族は瞬く間に凋落していく……。
定子の兄・伊周との身分違いの恋に苦しむなき子、そして紫式部との因縁。
悲運の時代を描いた哀切にして美しい平安絵巻に仮託した、女性の自立の物語。
「わたくしたちがずっとその心を忘れなければ、女が役に就ける御世がきっと来る。この悔しさを、のちの世の女は味わわなくてすむようになる」
著訳者プロフィール