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仏さまの教えと精進料理が、「さよなら」の涙に寄り添います。
退職したばかりの元営業・空也は、精進料亭“あじさい亭”で雇ってもらうために鎌倉へやって来た。しかし店主である僧侶・蓮沼竜玄は拒否! ついには、椎茸干しに集中して相づちさえされなくなる。取り繕った理由を話していた空也も、つい言わないつもりだった、この店でなければいけない本当の理由を口にしてしまう。
「このまえ大好きだったばあちゃんが死んだ。堪らなくて、なのに出てきた精進料理が旨くて。味は違うのにばあちゃんの味を思い出した――」
空也の独白に竜玄は……?
著訳者プロフィール
読み応えあるストーリー展開と、人間味あふれる登場人物たちのかけあいで、多くの読者を魅了する物語を描く、ストーリーテラー。
目次
第一話 松風豆腐の上の涙
第二話 碧い目に映る胡麻豆腐
第三話 思い出の卯の花炒め
第四話 煮びたしの勇気、うどんの音
エピローグ