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ソ連四大劇場を造り上げたのは若き日本兵だった――。よみがえる歴史秘話。
「日本人として恥ずべき仕事はしない」シルクロードに伝説を刻んだ若き兵士がいた!!
1945年、秋。敗戦後、ウズベキスタンに抑留された工兵たちがいた。
彼らに課されたのは「ソ連を代表する劇場を建てること」。
捕虜生活の下、457名の隊を率いてプロジェクトを完遂したリーダーは、まだ20代の将校だった。
「日本人の誇りと意地にかけて、最良のものをつくりたい」
彼らの仕事は、ソ連四大劇場の一つと称賛され、大地震にも耐えたオペラハウス「ナボイ劇場」として結実した。
堅牢な造り、美麗な内装。彼らの誇りと意地をかけた仕事は、収容所長をはじめ、現地の人々の心を動かし、語り続けられ、日本人伝説となった。
敗戦後、日本兵は一大プロジェクトと闘っていた!!
埋もれた偉業が明かされる!
■ボリショイ劇場建設という特殊任務
■収容所長アナポリスキーとの対峙
■隊員に起きた転落事故死
■手作りの芝居、演芸大会でウズベク人と触れ合う
■永田隊長の最後の仕事は名簿の暗記だった etc
※本書は2015年9月に小社より刊行した『日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた』を
改題の上、加筆修正し、新書化したものです。
著訳者プロフィール
目次
第1章 敗戦、そして捕虜
「戦争に敗けた現実」/満州で徴兵された民間人が見た赤紙/牡丹江の悲劇/満州の日本人は放置された/武装解除を命令した関東軍/ソ連の日本人捕虜六〇万人利用計画/日本を五つの占領区に分割する案があった/捕虜は労働使役に利用された etc
第2章 抑留、劇場建設へ
永田隊は帰国の望みを絶たれた/免れたシベリア送り/ウズベキスタンのタシケント、石の都へ入る/ボリショイ劇場建設という特殊任務/タシケント・第四収容所/オペラハウス建設四五七人の隊長となる/収容所長アナポリスキー/「最も重要な使命は全員が帰国することだ」etc
第3章 収容所長との交渉
食事とノルマ/ラクダの肉、骨ばかりの魚/全員に平等な食事を!/ソ連側と真剣交渉へ/「和」の精神を説く etc
第4章 誇れる仕事
増援部隊の面々/「世界に引けをとらない建築物をつくるんだ」/密かに敬愛された人物/ダモイ第一選抜を断る/転落事故死/二人の追悼式 etc
第5章 秘密情報員と疑われた永田
合唱団結成へ/麻雀、将棋、花札、碁を手作り/バイオリン作りも始まる/手作りの芝居、演芸大会/民主運動/秘密情報員と疑われた永田/盛り上がらなかった第四の民主運動 etc
第6章 収容所の恋
ウズベク人に『草津節』を教える/恋人ナージャ/「ダモイなのね」/「本当にありがとう、スパシーバ」 etc
終章 夢に見たダモイ
永田の最後の仕事は名簿の暗記だった/アナポリスキーとの再会/「もう、ダスビダーニャはないのだ」/「日本だ、日本だ」/タシケントを思う/日本人伝説 etc
あとがき
主要参考文献
写真提供