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ジョン万次郎は「あの船」に乗っていた。 史実と世界文学の傑作が融合!
その姿を見た者は、生涯魂を囚われる――。海と鯨に心を奪われ、人生を狂わされた男たちが、神の生き物に挑む!
土佐の中浜村で漁師の次男として生まれ育った万次郎は、鯨漁に魅せられる。やがて仲間たちと漁に出た際、足摺岬の沖合で遭難してしまう。漂流した五人は無人島にたどり着くものの万次郎は銛打ちの師匠・半九郎の形見の銛を追って、さらに漂流してしまった。単身、大海原に投げ出された万次郎を救出したのは、米国の捕鯨船ピークオッド号だった。その船長・エイハブは、自分の片足を喰いちぎった巨大な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”への復讐に異常な執念を燃やし、乗り組員となった万次郎を巻き込んでゆく……。
ジョン万次郎と、ハーマン・メルヴィルによるアメリカ文学の金字塔『Moby-Dick』が、夢枕獏の奔放な想像力によって融合する!
著訳者プロフィール
目次
一章 鯨組のこと
二章 神の鯨のこと
三章 万次郎海の大蛇に呑まれて鳥島に至ること
四章 万次郎片足の船長にして海の魔王エイハブと出会うこと
五章 万次郎ピークオッド号の乗り組員となること
六章 ピークオッド号、アルバトロス号とギャムすること
七章 人類の箱舟ピークオッド号のこと
八章 嵐に不思議なる火出現すること
九章 クイークェグの神ヨージョ運命を予言すること
十章 万次郎生まれて初めて鯨に銛を打つこと
十一章 ジェロボーム号から来た男のこと
十二章 エイハブ、その脚を白鯨の贄とすること
十三章 クイークェグ、自分の棺桶を作ること
十四章 万次郎海の森を発見すること
十五章 エイハブ、フェダラーと銛試しすること
十六章 白鯨その顎により神を裂くこと
十七章 スターバックのかくれんぼうのこと
十八章 万次郎マスケット銃にて試されること
十九章 最後の闘い、カモメを掴んだ手のこと
終章 万次郎の病床から見つかった二冊の本のこと
『白鯨のこと』 ―あとがきとして―