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「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」
「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」「最後の鑑定人」と呼ばれ、科捜研のエースとして「彼に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」と言わしめた男・土門誠。ある事件をきっかけに科捜研を辞めた土門は、民間の鑑定所を開設する。無駄を嫌い、余計な話は一切しないという奇人ながら、その群を抜いた能力により持ち込まれる不可解な事件を科学の力で解決していく。孤高の鑑定人・土門誠の事件簿。
『永遠についての証明』『水よ踊れ』で業界の注目を集める新鋭が正面から挑む、サイエンス×ミステリ!
著訳者プロフィール
1987年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年「永遠についての証明」で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞。その他の著書に『夏の陰』『プリズン・ドクター』『文身』がある。
目次
殺人事件の容疑者の裁判を前に、土門のもとに持ち込まれた2 種類のDNA 鑑定。一方は被告人が犯人であることを示し、他方は彼が犯人でないことを明らかにしていた。
「愚者の炎」
技能実習生として縫製工場で働く7 人のベトナム人が住む家から火の手が上がる。犯人は住民の一人で、出火直後に自ら通報してきた。完全黙秘を貫く彼の動機とは。
「死人に訊け」
海から引き揚げた自動車に白骨遺体が見つかる。警察の依頼を受けた土門は、DNA 鑑定で停滞する捜査を進展させ、さらに手掛かりを得るため科警研を巻き込むが……。
「風化した夜」
亡くなった娘の遺品の鑑定を依頼を受けた土門は、いつになく動揺する。娘の葉留佳は元刑事で、科捜研時代の土門も関わった「ある事件」の後に、警察を退職していた。