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華麗なる財閥一族の没落を描く、山本周五郎の隠れた名作
日本屈指の財閥・御池家の御曹司に生まれた康彦は、出生に関する秘密を抱え、不遇な青春時代を過ごしていた。敗戦後、GHQの財閥解体によって、御池家は存続の危機を迎える。時を同じくして、お抱え運転手の娘・夏子のもとには、怪しげな男が現れるようになっていた。彼女は康彦の亡父が遺した莫大な遺産に関する重要な情報を握っているというが……。没落の際に立つ上流階級たちの欺きあいを描いた、戦後サスペンス。著訳者プロフィール
『日本娼道記』が昭和18年上期直木賞に推されるが固辞し、生涯ただ一つの賞も受け取らなかった。庶民や、立場の弱い人々がもがきながらも懸命に生きる姿を描く作品が多くみられる。著作の多くは映像化され、国民的にも親しまれている大衆文学の名手。
目次
東京の夜
来訪者
マカロニとスパゲティ
湖畔にて
仮名の生
裸ショウ
冬の部屋
風と雪
夜の眺め
埃立つ街
抵抗
春浅く
遠いこだま
解説 清原康正