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パリ同時多発テロが及ぼした衝撃的な波紋を、写真と短歌で迫った画期的歌集
2015年11月13日夜、パリ市内の数か所と郊外で同時多発テロ事件が発生。テロ事件から1年2か月にわたり、国家非常事態宣言が出され、軍隊に志願する若者が増え、自分の子が志願兵になるかもしれないと悩む友人もいます。愛国心が高まる一方で、移民に対する差別があらわになったように感じられました。今もフランスでは心の葛藤を持ちつつも、さまざまな人種が違う宗教のもと暮らしています。その人たちの今を少しでもすくいあげることができればと、十七年四か月のフランス滞在を終えるのを機にこの歌集を編むことにしました。歌ではできるだけ心の内側を、写真ではフランスに生きる人々の姿をすくいあげるように心がけたつもりです。タイトルの「黒い光」は、日常と非日常の反転であり、日常と非日常の光と闇が同時にそこにあるイメージでもあります。私が見てきたことはほんの一部に過ぎず、また、事件とそれによって失われた命の重みを考えると、個人的な歌を多く載せることにためらいがあり歌数の少ない歌集となりました。著訳者プロフィール