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人間や動物の「背景」に過ぎないはずの植物が、実は知的生命体だとしたら?
植物が「下等生物」などではなく、「知的生命体」だと知ったら、あなたの世界の見方は一変するだろう。植物が驚くほど高い知性を持ち、自分が置かれた状況を把握して、未来を予測し、他の生物とコミュニケーションすら取っていると知ったら――どうだろうか?
気味が悪い? 伐採したり、食べたりするのが可哀想? 人間は彼らとどう付き合うか考え直すべき……?
そうしたすべての反応を引き出し、考えるヒントを提供するのが本書、『プランタ・サピエンス 知的生命体としての植物』だ。
世界で唯一植物の知性を専門に研究する「MINT研究所(ミニマル・インテリジェンス・ラボ)」の代表研究者、科学哲学教授の著者が描き出す植物の知性についての先端研究内容は、ページごとに私たちを驚かせる。植物研究の成果にとどまらず、植物を他の動物やコンピュータ、人間の脳構造などと比較することで、植物のイメージを「声なき背景である下等生物」から「プランタ・サピエンス(賢い植物)」に引き上げていく。
植物は脳を持たず、人間や動物のように動き回ることもできないが、人間とは異なる驚くべき内面世界があることが今、明らかになりつつある。
植物は計画を立て、学習し、仲間を認識し、リスクを評価し、決断を下すことができる。そして本書の導入部分で明らかにされているように、植物を「眠らせる」こともできる。
我々が思うよりもはるかに、植物は活発に、規則正しく、そして「知的に」生きているのだ。
人間が「動物中心主義」の古い考えを脱し、本当の意味で持続可能な社会を実現するために、植物という「知的生命体」を見直し、理解し、協力関係を築くことを大胆に提案した本書は、人類にとって初めての「教養としての植物本」である。
著訳者プロフィール
●ナタリー・ローレンス:作家。ケンブリッジ大学で科学史の博士号を取得。『BBCワイルドライフ』『イオン・マガジン』『パブリック・ドメイン・レビュー』などの雑誌やウェブ・メディアに多数寄稿。
●山田 美明:東京外国語大学英米語学科中退。訳書に『つくられた格差‐‐公平税制が生んだ所得の不平等』『アスペルガー医師とナチス‐‐発達障害の一つの起源』『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』(以上、光文社)、『スティグリッツ PROGRESSIVECAPITALISM』(東洋経済新報社)、『喰い尽くされるアフリカ─欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』『約束の地 大統領回顧録1』(以上、共訳、集英社)など多数。
目次
――第1部 植物の見方を改める
第1章 目に入らない植物
第2章 植物の視点を求めて
第3章 植物の賢い行動
――第2部 植物の知性を科学する
第4章 植物神経系
第5章 植物は思考するのか?
第6章 生態学的認知
――第3部 実を結ぶ
第7章 植物であるとはどういうことか?
第8章 植物の解放
第9章 グリーン・ロボット
エピローグ 海馬を太らせる農場
※目次は一部変更になる可能性があります