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フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器

著者: 一田和樹
発売日
2018年11月10日
在庫なし
924
在庫がありません
ISBNコード
9784040822440
レーベル
角川新書
商品形態
新書
サイズ
新書判
商品寸法(横/縦/束幅)
108 × 173 × 11.9 mm
総ページ数
272ページ
日本でも見られるネット世論操作はすでに「産業化」している――
「ハイブリッド戦」を理解せずにフェイクニュースを語ることはできない――。いまやネット世論操作は「産業化」している。そして、一方で日本でも進行する民主主義の危機はこの「ハイブリッド戦」への移行を意味しているのだ――。

フェイクニュースがここまで大げさな話になっていることには理由がある。ネット世論操作は近年各国が対応を進めているハイブリッド戦という新しい戦争のツールとして重要な役割を担っている。ハイブリッド戦とは兵器を用いた戦争ではなく、経済、文化。宗教、サイバー攻撃などあらゆる手段を駆使した、なんでもありの戦争を指す。この戦争に宣戦布告はなく、匿名性が高く、兵器を使った戦闘よりも重要度が高い。EU、アメリカ、ロシア、中国はすでにハイブリッド戦の態勢に移行している(あるいは、しつつある)。そのためフェイクニュース、ネット世論操作はハイブリッド戦という枠組みの中で考える必要がある。単体でフェイクニュースのことを取り上げても有効な解決策は生まれない。(略)本書ではハイブリッド戦を軸に多面的にフェイクニュース、ネット世論操作を考察したい。(「はじめに」より)

目次

一章 フェイクニュースが引き起こした約十三兆円の暴落

 フェイクニュースは新しい兵器
 アメリカ大統領選で勝利したのはロシア?
 民主党とクリントン陣営のメールがハッキングされた事件
 アメリカ国内に拡がるロシアやイランのフェイクメディア
 ロシアのメッセージが世界の三千以上のメディアに一万回以上拡散
 マケドニアの少年のネット世論操作関与の真相
 ロシアのネット世論操作の歴史
 金融市場向けフェイクニュースPR企業  ほか


二章 フェイクニュースとハイブリッド戦

 フェイクニュース定義と特徴
 現状のAIによる自動判別は論理的に破綻
 フェクトチェックは決め手にはならない
 検証記事を理解できない人間が増えている?
 フィルタバブルと政治フィルタ、機能的識字能力フィルタ
 フェイクニュース対策の中心は法律と対抗組織
 ネット世論操作の四つのパターン
 拡大するネット世論操作産業
 エピストクラシー、GoogleUrbanism、ハイブリッド地域戦  ほか
 

三章 世界四十八カ国でネット世論操作が進行中

 世界各国のネット世論操作部隊
 ロシアを支持するフランスの国民戦線
 ロシアが支援するポピュリズム政党が政権を取ったイタリア
 独立分離騒動のカタルーニャはロシアンマフィアの拠点
 ハイブリッド戦としてのクリミア侵攻  ほか


四章 アジアに拡がるネット世論操作 政権奪取からリンチまで

 インドネシア ネット世論操作業者が選挙戦で暗躍
 フィリピン 政府が推進するネット世論操作大国
 ベトナム ロシア支援で急速に進むネット言論統制と世論操作
 カンボジア ネット世論操作企業が支える独裁体制
 マレーシア 世界最大級の金融不祥事を巡るネット世論操作
 タイ 振り子のように軍政と民主主義を行き来するフェイクニュース国家
 ミャンマー 七十万人を国外脱出させたフェイスブックの悪魔
 韓国 元国連事務総長に大統領選出馬を撤回させたフェイクニュース
 台湾 中国のネット世論操作の標的  ほか

 
五章 日本におけるネット世論操作のエコシステム

 日本はどうなっているのか?
 世論操作のためのボットが日本でも大規模に活動
 政権支持のトロール募集記事を堂々とネットで告知
 扇動される日本人 十三万件の懲戒請求騒動
 問われているのは我々自身である  ほか