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美しい自然、ハイジがくれた永遠の愛と感動の物語を、読みやすい完訳版で。
両親を失いながらも、太陽のように明るく人々の心を照らす少女ハイジ。アルプスの山小屋で孤独に暮らすおじいさんとの絆、ヤギ飼いのペーターやその家族とのふれあい、足の不自由な少女クララとの出会いと友情――。雄大な自然を背景に、深い喪失感を抱く人々が、ひとりの少女によって人間性を回復し再生していく、愛と感動の物語。1880〜81年に発表された『ハイジ』は、当初から大評判となり、いまも世界中で翻訳・劇化・映像化されている。日本でもアニメが大ヒットし、児童文学として多くの絵本や抄訳が出版されているが、原作は、家族の絆や地域社会との共生、エコロジーな暮らしへの回帰など現代的なテーマにあふれ、大人にこそ考えさせられることが多い本格的な文学作品である。
本書は、シュリンク『朗読者』の翻訳で数々の賞を受賞した、ドイツ文学者・松永美穂氏による渾身の完訳。
著訳者プロフィール
●松永 美穂:早稲田大学教授・ドイツ文学者・翻訳家。愛知県出身。東京大学文学部独文科から、東大大学院人文社会研究科博士課程に進む。現在は、早稲田大学文学学術院教授。シュリンク著『朗読者』(新潮社)の翻訳で毎日出版文化賞特別賞受賞。ヘッセ『車輪の下で』(光文社)など古典新訳も数多く手がける。編訳書に『10歳までに読みたい世界名作 アルプスの少女ハイジ』(学研プラス)など。2019年NHK「100分de名著」に『アルプスの少女ハイジ』の解説者として出演。
目次
アルムのおじいさん/おじいさんのところで/牧場で/おばあさんのところで/二人のお客さんと、それに続く事件/まったく別の生活と、たくさんの新しいこと/ロッテンマイヤーさんの落ち着かない日々/ご主人が帰ってきて耳にした、前代未聞のことがら/おばあさま/ハイジの喜びと悲しみ/ゼーゼマン家の幽霊/アルムへ帰る旅/日曜日、教会の鐘が鳴るとき
◆第2部 ハイジは習ったことを役立てられる
旅行の準備/アルムへのお客さま/恩返し/デルフリ村の冬/まだまだ冬は続く/遠くのお友達が動き出す/アルムでのそれからの日々/誰も予想しなかったこと/お別れしても、また会える