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もう一度、あの恋に賭けてみようと思った。
公衆電話の受話器を取ってしまったその瞬間、不思議な夏が始まる。上下巻で二ヶ月連続刊行。
「賭けをしませんか?」と受話器の向こうの女は言った。
「十二歳の夏、あなたは初鹿野さんに恋をしました。しかし、当時のあなたにとって、彼女はあまりに遠い存在でした。『自分には、彼女に恋をする資格はない』。そう考えることで、あなたは初鹿野さんへの想いを抑えつけていたのです。……ですが、同時にこうも考えていました。『この痣さえなければ、ひょっとしたら』と。では、実際に痣を消してみましょう。その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです。初鹿野さんの気持ちに変化が起きなければ、賭けは私の勝ちです」
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