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第二次大戦、ナチス侵攻下でつづられたもう一つの「アンネの日記」
友人との遊びに興じ、地下の学校で学ぶ14歳の少女のかたわらを爆撃が襲う。愛国心を高めながら、時には敵兵にまで人間的な同情を抱き、平和を希求した少女。
世界で翻訳された日記が時を超えてよみがえる。
著訳者プロフィール
●米川 和夫:1929年、東京生まれ。51年早稲田大学文学部露文科卒業。58年にポーランドに留学し、翌59年ワルシャワ大学の日本語講師となる。その後帰国し、明治大学教授としてロシア語を教えた。トルストイ『人生論』(角川文庫)など翻訳書も多数。82年、53歳で逝去。
目次
序文(ポーランド作家協会会長 ヤロスワフ・イヴァシュキエヴィチ)
まえがき(米川和夫)
◆1942年 アニンで
日記をつけだすことに……
恐ろしいほどさびしいタベ
十五夜の月と星
ユダヤ人をのせた汽車が……
幸福って、いったい?
美しいものはすべてはかなく
このドイツ兵だって人間だもの……
ユダヤ人だという、ただそれだけのために
涙はかわいて、どこへ消えてゆく?
ワルシャワがまっかに燃えだした
若者こそ、祖国ポーランドのいしずえ
クリスマス
◆1943年 ワルシャワで
戦争の最後の年になりますように
「狩りこみ」がつづく
これが戦争のあとの春だったら!
自分のへやの自分の机で
銃声の中の復活祭
爆弾の雨、ワルシャワの空に
日記帳よ、さようなら!
◆1944年 ワルシャワで
みんなといっしょに勉強が……恐ろしい思い出のかずかず……復讐はぜひとも必要だろうか?
バーシャ、笑って! 笑いなさい!!
べったりと地面に伏せて
姉のところへ!
ボリシェヴィキがくるだろう……
もうだめだと、なんど……
ハーニャとの別れ
いったいそれほどまでにして?武器を手に立つ、その時が!
ポーランドの国旗がひるがえっている!!
市民諸君に栄光あれ!
いつになったらこの花を兵士たちに……
最後の血の一滴の流れつくすまで
自由か、死ぬか、どっちかだ!!
祖国のため、ワルシャワのため
抵抗の意志吹きとばされた!
すべて祖国にささげよう
『ニュメン川のほとり』
けれどその後は……
人は生きるため最後まで戦う
◆つけたり――ダダのつづった幻想と思い出
わたしのハーニャ!
20年後のワルシャワ(幻想)
わたしたち3人組みの思い出
解説 池田香代子