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この嫁入りが契約ならば、花嫁は自分でなくて良いと、そう気付かされて――
『廃屋令嬢』と蔑まれても誇りを失わず生きてきた雛は、冷酷な実業家の鷹と、契約でのみ結ばれた夫婦となった。けれど雛はその賢明な生き方で鷹を助け、鷹もまた雛に利用価値以上の、暖かな何かを見出しつつあった。巷で浅草十二階が賑わう時分。宝石事業の展開に腐心する鷹のもとに、かつて彼を裏切った元婚約者の寧々が、資金と家柄を持って現れる。彼女は復縁を条件に、援助の契約を交わすという。そう、この嫁入りは契約だから、花嫁は自分でなくて良い。気付かされた雛に、鷹が示した態度は――?
著訳者プロフィール
代表作に、第5回カクヨムweb小説コンテストでキャラクター文芸部門大賞を受賞し書籍化した『江戸の花魁と入れ替わったので、花街の頂点を目指してみる』シリーズ(富士見L文庫)がある。
目次
序章 二人の春
第一章 浅草にて
第二章 波乱の訪れ
第三章 すれ違う心
第四章 謀略の渦
第五章 逆襲の舞踏会
終章 ふたたび、浅草にて
あとがき