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バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮

発売日
2025年03月10日
予約受付中
お届け予定日
発売日以降にお届け
1,100
ISBNコード
9784040824994
レーベル
角川新書
商品形態
新書
サイズ
新書判
商品寸法(横/縦/束幅)
108 × 173 × 13.8 mm
総ページ数
304ページ
バブル期に大量に建設されたリゾートマンション、会員制リゾート――
・アクセス難で苗場のマンションが10万円
・40平米の1Rマンションを見ず知らずの20人で所有
・リゾートホテルの建物が1250分割、ワンフロアが200分割――権利が切り刻まれて身動きが取れない不動産
・東京都湯沢町、バブル期にマンションを建てまくったデベロッパーも多くが倒産、解散
・もはや地面の切れ端…14平米に満たない狭小地で分割され販売された別荘タウン
・権利分割して建てられていたホテルが今や有名な廃墟スポットに
・解体費用は、地方自治体…? 地元の巨大なリスクに

あまりに度を越した濫用が横行したために、今となってはその乱売された「権利」が、購入者にとってなんらの価値も生み出さないどころか、ただ義務と責任ばかり発生するだけのお荷物と化している。電気、水道といった施設の利用に必要なインフラはすべて止められ、一切の修繕が行われない建物は老朽化するばかりだ。当の所有者本人ですら利用が不可能な状況に陥っているのに、他者の権利に阻まれ、解体もできなければ売却もかなわない。なんの解決策も取られないまま、ただ毎年固定資産税が課税され続けている。こんな理不尽な話があるだろうか。(本文より)

1970年代、都心の土地価格の高騰に伴い、ターゲットにされた新潟県湯沢町。バブル期のスキーブームもあり、多くのリゾートマンションや会員制ホテルが建設された。今なおきちんと管理され、人々の生活を潤すマンションがある一方で、大幅に価格が低下したり、法律の濫用により身動きが取れなくなった施設が存在している。千葉県北東部の「限界ニュータウン」に住み、不動産問題を調査報道する著者が、リゾート物件の現状を伝える。

目次

はじめに

第一章 区分所有法という迷宮
リゾート物件も分譲マンションも法律は同じ
スラム化マンションの居住経験
リスクが見積もられていなかった黎明期
考えうる最悪な結末を迎えているリゾート物件

第二章 リゾートマンション
快適で贅沢な湯沢町のリゾートマンション
負のイメージの独り歩き
マンション建設ラッシュは70年代から
東京の大手デベロッパーに翻弄された「東京都湯沢町」
不動産が投機の対象となった時代
苗場エリアと、ほかの2つのエリア
マンションの売値が10万円である理由
管理費未納への新たな手法
所有者の追跡には限度がある
幸せな終活をしたマンション
リタイア世代が購入するリゾートマンション事情
負担感に付け込んだ悪徳商法

第三章 区分所有型ホテル
投機目的の「区分所有型ホテル」
オーナーだけど経営に関与できない
賃料も受け取れず利用もできず、税金を取られるだけ
スポーリアの所有者から届いた封書
購入額は27平米で1700万円
契約上は、閑散期も満室稼働
閉鎖ホテルの内部へ
まったく想像できない行く末
親会社からも存在を無視され、地元自治体にとっては巨大なリスクに
こんなものは売ってはならない
終活に成功したホテル

第四章 会員制リゾートクラブ 前編
1つの客室を複数のオーナーで共有するというビジネスモデル
現在でも運営されている会員制リゾート
リゾート会員権の訪問販売に対し、増える苦情
個人で所有しているのに運営会社の言いなり
共有者の分母が異常に大きく問題はさらに深刻
固定資産税は徴収できているのか

第五章 会員制リゾートクラブ 後編
破綻した湯沢の会員制リゾート4例
1つの建物の権利が1250口に分割されて販売
管理費や修繕積立金を20年間支払わなかった開発企業
当初から破綻していたビジネスモデル
和歌山の鉄道を経営する「磐梯鉄道不動産」
初期の会員に残ったのは固定資産税だけ
所有権を手放すのにお金を払う羽目に
スポニチの関連会社が販売していたリゾートクラブ会員権

第六章 道路やテニスコートまで区分所有
実は複雑怪奇な「私道」の権利
共同所有となっている別荘地のテニスコート
収拾がつかないほど細切れにされた土地
更地のまま放置された投機型の別荘地
ファミテッククラブ会員権、被害者の会の結成

第七章 国内に点在する迷宮
共有持分を拒絶する会員制のリゾートホテル
またも登場した有償引取り業者
400分割されたホテルも池袋なら
解決策がないという共通点
まとめ――不動産共有型というシステムの欠陥
地域の迷惑施設であること