感情の起伏がなく「普通の人」に憧れるメロは、1億円を懸けて戦うゲームにエントリーした。失うものは何もないし、妹の結婚資金を出したかったのだ。参加者は一堂に集められ、ゲームのルールの説明が終わるや否や催眠ガスで眠らされてしまう。気づいたときは、緑色のジャージに身を包み、見知らぬ田舎の駅にいたのだった――。持ち物は配布された携帯端末のみ。そこにチャージされたポイントで、電車を使って目的地まで向かう――。シンプルなゲームが幕を開けた。だが、メロは徐々にこの一見素朴なゲームの別の側面に気づく。交錯する参加者たちの心理戦や思惑、さらに携帯端末に送られてくるルールを破ったものへの恐ろしいペナルティ……。このゲームの恐ろしさに気づいたとき、大切なものを懸けたメロの本当の戦いが始まった。